つらい心のモヤモヤにさよなら。ジャーナリングで優しく向き合うセルフコンパッション
心のモヤモヤ、言葉にできない不調を感じたら
忙しい毎日の中で、なんとなく心が晴れない、具体的な理由はないけれど気分が沈む、といった「心のモヤモヤ」を感じることはありませんか。仕事や人間関係のストレスが続くと、知らず知らずのうちに心の中に様々な感情や思考が溜まり、それがモヤモヤとして現れることがあります。このモヤモヤは、放っておくと心身の不調に繋がることも少なくありません。
自分に厳しいあなたは、「こんなことでモヤモヤしているなんて、弱いのかもしれない」と、さらに自分を責めてしまうこともあるかもしれません。しかし、そうした感情は誰にでも起こりうる自然なものです。大切なのは、そのモヤモヤを無理に消そうとするのではなく、どのように向き合い、心を軽くしていくかということです。
この記事では、心のモヤモヤを整理し、自分に優しく寄り添うための方法として、「ジャーナリング」と「セルフコンパッション」を組み合わせたアプローチをご紹介します。手軽に始められる実践的な方法ですので、ぜひ読み進めてみてください。
心のモヤモヤの正体とは
心のモヤモヤとは、頭の中をぐるぐると巡る思考や、言語化できない感情が混ざり合った状態を指します。それは、過去の出来事への後悔かもしれませんし、漠然とした将来への不安、あるいは他人への小さな不満かもしれません。また、「自分が何をしたいのか分からない」「何かが足りない気がする」といった、自分自身への問いかけが形にならないまま漂っていることもあります。
これらのモヤモヤは、脳が情報を処理しきれなかったり、感情が抑圧されたりすることで生じると考えられています。重要なのは、そのモヤモヤが良いとか悪いとか判断しないことです。まずは、「今、自分はモヤモヤを感じているのだな」と、その状態を認めることから始まります。
なぜジャーナリングがモヤモヤに有効なのか
ジャーナリングとは、頭の中に浮かんだことや感じたことを、自由に紙や画面に書き出すシンプルな行為です。この「書く」というアウトプットのプロセスが、心のモヤモヤを整理する上で非常に効果的です。
頭の中だけで考えていると、思考や感情は堂々巡りになりがちです。しかし、文字として外に出すことで、自分が何について悩んでいるのか、どんな感情を抱いているのかが「見える化」されます。これにより、絡まった糸をほどくように、自分の内側で起こっていることを客観的に捉えることができるようになります。
また、書く行為そのものが、心の中の圧力を解放するカタルシス効果をもたらすこともあります。誰かに聞かせるためでも、綺麗にまとめるためでもなく、ただ自分自身のために書く時間は、自分と向き合う大切な時間となります。
セルフコンパッションを取り入れたジャーナリングの実践
ジャーナリングの効果をさらに高め、自分を労わる時間にするために、セルフコンパッションの視点を取り入れてみましょう。セルフコンパッションとは、困難や失敗に直面した時、あるいは自分の欠点に気づいた時に、批判するのではなく、友人に対するように優しさや理解を持って自分に接することです。
セルフコンパッションを取り入れたジャーナリングは、難しく考える必要はありません。以下のステップで、まずは気軽に試してみてください。
ステップ1: 用意するものと時間
- ノートとペン、あるいはPCやスマートフォンのメモ機能を用意します。
- 時間は、わずか5分でも構いません。まとまった時間が取れない日でも、隙間時間に行うことができます。
ステップ2: 書く前に一呼吸
- 座って、目を閉じても閉じなくても構いません。数回、ゆっくりと深呼吸をしてみましょう。呼吸に意識を向けることで、今この瞬間に注意を向ける練習になります。
- 「これから、心の中にあるものを少し書き出してみよう」と、静かに自分に語りかけます。
ステップ3: 心のままに書き出す
- 頭に浮かんだこと、心で感じていることを、ありのままに書き出します。
- 「何を書けば良いかわからない」という時は、「今、何を書けば良いかわからないと感じている」とそのまま書いても構いません。
- 書き方のポイントは、「正しい文章で書こうとしない」「誤字脱字を気にしない」「人に読ませる文章にしようとしない」ことです。
- 心に浮かんだ単語、短いフレーズ、殴り書きでも大丈夫です。思考や感情の「流れ」をそのまま追いかけるように書きます。
- この時、セルフコンパッションの視点を少し意識してみましょう。「こんなことを考えているなんてダメだ」と批判するのではなく、「ああ、自分は今、こんなことを考えているんだな」と、ただ受け止めるように書き記します。
ステップ4: 書き終えた後に
- 書く時間が終わったら、ペンを置きます。
- 書いた内容を無理に読み返す必要はありません。もし読み返す場合は、書かれている内容に対して批判的な判断を下さず、「こんなことが心の中にあるんだな」と、自分自身に優しく、好奇心を持って眺めるようにします。
- 書いた内容からすぐに解決策を見つけようと焦る必要はありません。書くだけで、心の中が少し整理されたり、感情が解放されたりする効果があります。
ジャーナリングを続けるためのヒント
ジャーナリングを習慣にするためには、完璧を目指さないことが大切です。
- 「毎日、寝る前に必ず1ページ書く」といった堅苦しいルールを決めず、「書きたいなと思った時に、数分だけでも書いてみる」くらいの気軽さで始めましょう。
- 特定のノートやペンを用意しなくても、手近なメモ帳やスマホのメモ機能で十分です。
- 書くことが義務になると、かえってストレスになることもあります。無理なく、自分のペースで続けることが何よりも重要です。
書くことで自分に優しく寄り添う時間を持つ
ジャーナリングは、心の中のモヤモヤや捉えどころのない感情を「見える化」し、それに対してセルフコンパッションの視点を持つ練習の場となります。書く行為を通して、あなたは自分自身の内側に優しく寄り添い、話を聞いてあげる時間を意識的に作ることができます。
完璧に書く必要はありません。書いた内容から何か重大な発見をしなければならないわけでもありません。ただ、ペンを動かし、心の中にあるものを紙に(あるいは画面に)移すだけで、心の風通しが良くなるのを感じられるはずです。
まずは、今感じている小さなモヤモヤを、数分間だけ書き出してみてはいかがでしょうか。その時間を通して、あなたは自分自身に優しく語りかけ、心を軽くするための一歩を踏み出すことができるでしょう。