目標達成できないと自分を責めてしまうあなたへ。セルフコンパッションで心を満たす方法
目標達成できないと自分を責めていませんか?
仕事でもプライベートでも、私たちは日々様々な目標を立てて生活しています。今日のToDoリスト、今週のプロジェクト目標、今年のキャリアプランや家計の目標など、大小様々な目標があることでしょう。
目標に向かって努力することは素晴らしいことですが、時には計画通りに進まなかったり、目標が達成できなかったりすることもあるかと思います。そんな時、「どうして自分はこんなにダメなんだろう」「もっと頑張らないと」と、自分を責めてしまうことはありませんか。
特に、真面目で一生懸命な方ほど、目標達成できない状況に対して自分に厳しくなりがちです。そして、この「自分を責める気持ち」は、さらなるストレスを生み、自己肯定感を低下させてしまうことがあります。
この記事では、目標達成できない時に自分を責めてしまう傾向のある方へ向けて、心に優しさを向け、穏やかに前向きに進むためのセルフコンパッションの考え方と実践方法をご紹介します。
なぜ私たちは「目標達成できない自分」を責めてしまうのでしょうか
目標達成できない時に自分を責めてしまう背景には、いくつかの要因が考えられます。
- 高い目標設定と完璧主義: 高すぎる目標を設定したり、完璧にこなそうとしたりする傾向があると、少しの遅れや失敗が許せなくなりがちです。
- 自己肯定感の低さ: 「自分には価値がない」「もっと成果を出さないと認められない」といった考えがあると、成果と自分の価値を結びつけてしまい、目標達成できないことが自分の価値の否定のように感じられます。
- 社会や周囲からのプレッシャー: 「こうあるべき」「成功しなければならない」といった社会的な期待や、周囲との比較も、自分を追い詰める要因となることがあります。
このような内圧や外圧の中で、「目標達成できない自分はダメだ」という思考パターンが定着してしまうと、心はどんどん疲れてしまいます。
セルフコンパッションが、あなたを「責める心」から救う鍵に
ここで大切になるのが、「セルフコンパッション(self-compassion)」という考え方です。セルフコンパッションとは、困難な状況や失敗に直面した時に、自分自身に優しさや思いやりを向けることです。まるで親しい友人がつらい状況にいる時に、その友人を思いやるように、自分自身を思いやる心のことです。
セルフコンパッションには、主に3つの要素があると言われています。
- 自分への優しさ(Self-kindness): 批判的な自己判断ではなく、失敗や欠点に対して理解と許容の態度で接すること。
- 共通の人間性(Common humanity): 困難や不完全さは誰にでも起こりうる、人間共通の経験であると認識すること。自分だけが苦しんでいるのではないと理解すること。
- マインドフルネス(Mindfulness): 苦しい感情や思考から距離を置き、ありのままの現実を観察すること。感情に飲み込まれたり、過剰に同一化したりしないこと。
目標達成できない自分を責めてしまう時、私たちはこのセルフコンパッションの要素が欠けている状態にあることが多いのです。自分に厳しく(優しさの欠如)、自分だけがうまくいかないように感じ(共通の人間性の欠如)、責める思考に囚われてしまっています(マインドフルネスの欠如)。
セルフコンパッションを育むことで、目標達成できなかったとしても、自分を責めるのではなく、「今はうまくいかなかったけれど、大丈夫だよ」「つらいね、少し休もうか」と、自分に寄り添うことができるようになります。
目標達成できない時に試したいセルフコンパッションの実践
では、具体的に目標達成できないと感じた時に、どのようにセルフコンパッションを実践すれば良いのでしょうか。いくつか手軽に試せる方法をご紹介します。
1. 自分の感情に気づく
目標が達成できなかった、計画が遅れている、と感じた時に、まず自分の内側にどんな感情や思考が湧いているかに気づきましょう。「あぁ、落ち込んでいるな」「自分を責めているな」「焦っているな」という感情や思考を、良い悪いと判断せず、ただ観察します。これはマインドフルネスの要素です。感情に「気づく」ことで、感情に「飲み込まれる」ことから一歩距離を置くことができます。
2. 自分に優しい言葉をかける
自分を責める言葉が心に浮かんだら、意識的に優しい言葉に置き換えてみましょう。
- 「どうしてこんなこともできないんだ」→「うまくいかなくてつらいね。でも、頑張ってはいたよね」
- 「計画通りにできなかった」→「今回は難しかったね。次はどうしたら良いか、一緒に考えよう」
- 親しい友人が同じ状況だったら、どんな言葉をかけるかを想像してみるのも良い方法です。その言葉を、そのまま自分自身にかけてみてください。
3. 体を通して自分に優しさを送る
言葉だけでなく、体に触れることで自分に優しさを送ることも効果的です。
- 両手を胸に優しく当てる
- 自分の腕をそっと抱きしめる
- 温かい飲み物をゆっくりと味わう
- お気に入りのブランケットにくるまる
こうした穏やかな体のジェスチャーや感覚は、心に安心感をもたらし、自分への優しさを体感させてくれます。
4. 「誰にでもあること」と認識する
「うまくいかないのは自分だけではない」という共通の人間性を思い出しましょう。完璧にすべてをこなせる人はいません。誰もが失敗したり、計画通りにいかなかったりする経験をしています。この普遍的な事実を思い出すことで、「自分だけが劣っている」という孤独感や自己否定感が和らぎます。
5. 小さな一歩と「できたこと」に目を向ける
全てがダメだったと一括りにせず、少しでも進んだこと、達成できた小さなタスクに意識を向けましょう。そして、「今日は〇〇だけできた、それだけでも素晴らしい」と自分を認めます。完璧を目指すのではなく、「これだけはやる」という現実的な小さな目標を設定し、それが達成できたら自分をねぎらう習慣をつけることも、自己肯定感を育む助けとなります。
日常でセルフコンパッションを育むセルフケア
目標達成の状況に関わらず、日頃からセルフコンパッションを育むようなセルフケアを取り入れることも大切です。
- 短い呼吸法: 焦りやストレスを感じた時に、数回深呼吸をするだけで心は落ち着きます。
- 軽い運動: 散歩やストレッチなど、体を動かすことは気分転換になり、心身の緊張を和らげます。
- 五感を使ったリラックス: 好きな音楽を聴く、アロマの香りを嗅ぐ、美味しいお茶を飲むなど、五感を満たす時間は心に余裕を生み出します。
- 休息を大切にする: 疲れている時は無理せず休息を取りましょう。「休むことは罪悪」ではなく、「休むことは自分を大切にすること」と意識を変える練習をします。
これらの手軽なセルフケアは、心にゆとりを生み、自分を責める気持ちが湧きにくい土壌を作ってくれます。
まとめ
目標達成は確かにやりがいがありますが、時に私たちにプレッシャーを与え、うまくいかない時には自分を責める原因ともなります。しかし、目標に向かうプロセスで大切なのは、成果だけでなく、そのプロセスにいる「あなた自身」です。
目標が達成できなかった時も、計画通りに進まなかった時も、自分を責める必要はありません。そんな時こそ、自分自身に優しさと思いやりを向け、共通の人間性を思い出し、冷静に状況を観察するセルフコンパッションを実践してみてください。
自分に優しく寄り添うことは、決して甘やかすことではなく、あなたが折れない心で、また次の一歩を踏み出すための大切なエネルギーとなります。セルフコンパッションを取り入れたセルフケアで、目標に捉われすぎず、穏やかで満たされた毎日を過ごしましょう。